2009年12月15日火曜日

ワインの楽しさ

食いしん坊の御多分に漏れず、私もワインにハマっている。洋の東西を問わず、食いしん坊たちは殆どがワインに一度はハマると思われるので、ワインという物は不思議の人間の五感を刺激する飲み物のようだ。

私が今最も気に入っているのはブルゴーニュ、ニュイ・サンジョルジュの赤。私は割合に味の範囲が広いらしく、世界中の様々なワインをそれなりに楽しむ事はできる。しかしその中でもフランス、さらにはブルゴーニュのワインは芸術品のような品格があって、なかなか魅力的なのだ。

ニュイ・サン・ジョルジュを初めて飲んだのは、10年以上前友人のT氏と銀座にフレンチを食べに行ったときだ。友人達の間でも食通で有名で、フランスに在住した経験もあるT氏はピノ・ノワールの精妙な味わいを好むという。その彼が「窪田、これがなかなかオススメなんだよ。」というので呑んでみた。

見ると色も薄く、なんだかアッサリしたそっけない味なのかなと思ってグラスを顔に近づける。すると、なんとビックリ!

私が一番ビックリしたのはその香りだ。普通の赤ワインらしい果実の香りとともに、フローラルブーケとでも言ったら良いのか、「花の香り」が香ってくる。しかも結構これが強い。しかしこの花の香りがちょうどタンニンやミネラルっぽい味と美味く釣り合って、非常にエレガントな味わいになる。ピノ・ノワールらしい薄い色とは裏腹にかなりアクセントの強いハッキリした味だ。

なんとも楽しげなワインなのである。その時期、まだ私はボルドーに嵌っていて、味も香りもここまで複雑なワインを飲んだのはその時初めてだった。私が華麗な味わいにビックリして目を丸くしているとTがにやっと笑い「な、かなり美味しいだろ?」

それ以来、私はニュイ・サンジョルジュのファンになってしまった。その後様々なブルゴーニュを呑んでみるが、ニュイのような繊細さと力強さの両方を持ったワインには、まだあまり出会っていない。

畑が近いヴォーヌ・ロマネとかジュヴレ・シャンベルタンなんかも独自の味わいながら、多少ニュイに近いニュアンスを持っていることもある。

それからモレ・サン・ドニも安価な割には美味しいかな。

ニュイのありがたい所が、これほどのお味なのに、グランクリュ(特級畑)ではなくプルミエクリュ(一級畑)なので、比較的購入しやすい事だ。 特に2004年とか2002年、1998年なんかはビックリするような美味しさなので、「特別な日」には結構オススメだ。

こんな感じのハイレベルなワインはそのものが非常に美味しくマリアージュする相手が居なくても華やかだ。ワインだけでも美味しいし、フランスパンとバターがあれば、他のものはいらないぐらい。もちろんハモン、チーズ、豚肉や鶏のお料理に合うことは言うまでもないけれども。

(文:窪田 敏之)

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